素材のボリュームの隙間に暮らす
4人家族で住まうためのマンションリノベーション。
L字型の平面の中に個室を設けず、ワンルームとしてデザインされ、石、木、真鍮、コンクリートといった素材を各所にバランスよく配置した。
それらの素材のボリュームによって生み出される隙間やコーナーに、住空間に必要な機能を組み込んでいる。
明確に「〇〇の部屋」として区切るのではなく、空間を緩やかにつなげることで、家のどこにいても家族全体の気配を感じながら生活できる住まいとなっている。




設計事務所
株式会社 八木惣一郎デザイン事務所
- 住所
- 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3-42-11 ローザ・ビアンカ 304
- TEL
- 03-6804-3083
- 代表者様
- 八木 惣一郎
- ご担当者様
- 八木 惣一郎
- URL
- http://www.sydo.jp/
建物概要
- 名称
- Y様邸
- 所在地
- 東京都
- 施主
- 個人
- 統括設計
- 株式会社 八木惣一郎デザイン事務所
- 施工
- 株式会社 SET UP
- 工事期間
- 2022年4月~2022年5月
- 建築用途
- 住宅
ご採用商品

2025/03/03
京都府 HOTEL VMG VILLA KYOTO
大正9年、当時大阪一と言われた料亭のご主人が茶会を催す私邸として建てられた数寄屋建築。祇園のお茶屋建築を多く手がけた数寄屋大工によって建てられ、随所に素晴らしい意匠が施されていた。建物は敷地形状に沿って南北に細長く、西寄りに配置されており、建物の東側には立派な庭が設けられていた。各部屋には庭が眺められる大きな窓があり、数寄屋建築ならではの雁行した平面配置により、建築全体として庭と一体の空間構成となっていた。
元々素晴らしい建物だったが、ホテルとして機能するために必要となるのが設備の設置。それに伴い必要となる天井の改装には技術的、デザイン的に検討を重ね、数寄屋建築の素晴らしい意匠をできるだけ残しながら設備の設置を実現した。天井以外についても終始既存建物へ敬意を払いながら設計し、細部の色合いや素材は現場でていねいに確認しながら決定していった。
水まわり設備はホテルとして最新設備の設置が求められるため、築100年の建物に新旧が心地よくなじむように、新しい仕上げ材や造作家具と共に設置した。
その結果、既存の状態を保ちつつ、あるいは寄り添いながら、100年前の数寄屋建築の空間構成、意匠性は変わらない快適なホテルとなった。
リフォーム
ホテル
洗面
和モダン

2025/01/06
東京都 House "H"
東京都心には、旗竿地が多く存在する。かつて道路基盤の整っていない地域で、街区の奥に住宅を建てる目的で自然発生したものだが、近年は接道基準を満たす目的や、地価の高い都心において、多くの宅地を獲得する手段として増加傾向にあり、異形状のものも多い。旗竿地での計画は、周囲に住宅が密集して建っているため、採光・通風・眺望・プライバシーと言った観点で環境的に不利とされる。
そのような東京都心の住宅街にある台形形状の旗竿地において、住宅の設計依頼を受けた。クライアントは小さなお子さんがいる子育て世代のご夫妻。「周囲の目を気にせずカーテンを開け放しにして、空や庭のグリーンを見ながら暮らしたい」とご要望をいただいたが、周囲は四方を隣家に囲まれ、眺望やプライバシーを確保することは困難に思われた。
まず敷地を読み込み、わずかでも開ける方向と閉じるべき方向を選択しながら、住棟の配置を検討した。幸い敷地面積が広かったため、要望の床面積の住棟を配置しても敷地内に余白ができ、余白を利用すればある程度の庭を確保できることがわかった。そこで我々は、台形の敷地形状に対して"H"型の住棟を配置し、敷地の外周にコンクリートの壁を立ててプライバシーを確保、台形と"H"型との間にできた隙間に複数の庭を配置する構成を考えた。敷地の中に「外」を作る考え方である。
1Fはそれぞれの室内空間が庭で緩やかにつながり、家族がフレキシブルに過ごせる共用のスペースとしている。南側のデッキテラスは、自由に開閉できるコの字の木製建具によって、ダイニング・キッチン、リビング、多目的に使えるライブラリースペースが自由に繋げられる。敷地北側の角には和室を配置し、泊まりに来る両親やゲストルームとしても使えるようにした。2Fには寝室を中心としたプライベートスペースを集約し、空とグリーンを感じられるようテラスを設けた。
庭は、外遊びを通して子どもたちが豊かに育っていくことと、大人がゆっくりとした時間を過ごせることの両側面に配慮し、異なった性質と意味合いを持たせた。玄関の通り庭は来客を迎え入れるための庭、北側のコートヤードはコンクリートに囲まれた非日常的で静的な庭、南側のデッキテラスは日当たりもよく走り回れるアクティブな庭、和室前は室内から眺めるための坪庭、そして2Fのテラスは1Fの賑やかさとは隔離され、渡り廊下とベンチに面し読書などをして静かに過ごせる庭となっている。
室内空間と各庭は緩やかに分かれながれも繋がり、家族が好きな場所を選択して過ごせる。玄関から入り、“H”型の空間を水平と上下に移動する中で、それぞれの窓から変化に富んだ各庭のグリーンと空が見え、家族の様子も互いに感じられる。
"H"型の住宅が、都心の旗竿地でも周囲を気にすることなく、のびのびと暮らせる家のひとつの形式となることを願っている。
新築
戸建
キッチン
ナチュラル

2024/12/02
東京都 House ZPK
自然が残され、ていねいに歴史が重ねられたコミュニティに築75年の家があった。都市にひっそりと佇む古民家の改修プロジェクトである。
当該建築を含む数軒から構成されるこの街区は、約100年前の宅地整理以降変わらぬ姿を残している。3世代にわたり住み継がれ、住民同士は、幼稚園から中学校まで同窓の間柄である。土地の魅力に惹かれ、ここでの生活を大切にしていることがうかがわれる。一方で、世代交代とともに都市中心部への移住が進み、当該街区が抱える法的制限による建築的循環の起こり難さから“都市部における過疎化”が進行している。
既存建築の歴史を塗り替える“住み替え”ではなく、未来の住人が見る先人の記憶としての改修計画を目指した。途切れることのないこの土地と建築の歴史の中で本計画がかかわる時間はほんの一瞬である。建築、周辺環境、コミュニティなど様々な“時の経過”が並存する未来への建築である。
当該建築がある小さなコミュニティにとって東に隣接する公園や、西側を通る小道は愛着を持った大切な存在である。一方で、既存建築は前庭にのみ開口部を持ち、公園や小道に対しては開口部のない壁や高い生垣により明確な境界が作られていた。本改修では東立面に新たに大開口とリビングから連続する土間テラスを設け、田の字の細かな間仕切壁をやめ一体空間としている。これにより、公園、内部空間、前庭、小道までが一体となり、周囲で起こる時間の経過を感じられる計画とした。
リフォーム
戸建
キッチン
ヴィンテージ

2024/09/02
東京都 武蔵村山の住宅・改修
東京の郊外、武蔵村山市の緑豊かな谷あいに建つ、築50年の丁寧につくられた和風の平屋住宅。造園家の若い家族がこの古き良さを活かしながら自分達らしい暮らしを楽しむための改修。
■建物の性能(構造、設備、断熱、遮熱)を見直す。
安全に関わる構造の見直しは、平屋でシンプルな矩形ということもありフラット35リノベ耐震評価基準をもとに整えた。給排水設備は老朽化のため、水まわり全て交換した。また、当時の仕様なのか、床下・壁内・天井裏、どこにも断熱材が入っていなかったため、室内工事の内容を検討し、可能な限り取り付けることにした。この家のほとんどがシングルガラスのアルミサッシだったが、幸い内側に障子を設けてあり、このつくり方が断熱・遮熱効果として期待できると考え、このまま生かすことにした。
■新しい暮らしを支える建築空間を考える。
改修前は、当時主流だった北側に位置する狭くて暗い閉鎖的な台所・食堂と、南側に広く明るい居間がある古典的な間取り。そのふたつの空間をうまく繋げ、全体的に広く明るく楽しい空間にすることが若い家族には必要と考えた。ソファ付のリビングとして考えている南側の空間は、本格的な和の空間。既存建築をリスペクトして、うまく整え繋ぐことが私の仕事だ。連続する天井材を注意深く選定して、和の建築に洋の生活が混在できる新しい空間をつくり上げた。外構工事はこれから、造園家のご主人にバトンを渡し、コツコツとつくり込んでいく。これからの建築は、古いものを活かし新しいものへと繋げることが、強く求められる時代になるような気がしている。
リフォーム
戸建
洗面
ナチュラル

2024/05/07
広島県 厳島いろは
宮島フェリー乗り場から徒歩5分、表参道商店街に入ってすぐ、厳島神社まで徒歩7分という好立地に位置する厳島いろは。大鳥居を望む海側と弥山へとつながる山側の自然豊かな景色が、街と宿と海をつないでいる。1階はロビーに使われていた場所をレストランに改修し観光地の喧騒から離れたフレンチベースのジャンルレス料理が味わえる場所へと生まれ変わった。天井は瀬戸内の海に見立てた左官で仕上げている。中庭とホテルレストランの間に新設したバーのカウンターは、厚み60mm 長さ8mにもおよぶウェンジ材の一枚板で製作。切石で積まれた庵治石を背に料理人が調理をする様を堪能できる。鈍く光る庵治石と一枚板のカウンターが料理を引き立たせる、居心地の良い空間になった。
2階はラウンジと客室を改修した。3室ある客室は露地を持つ和室へと生まれ変わった。3、4階の客室は既存を残しつつ水まわりを改修。それぞれ違う色の施釉タイルを使い静寂に包み込まれるような浴室となった。
また4階では、海側と山側の客室を1部屋ずつ滅築し、ゆったりと過ごせるスイートルームにリノベーションした。
「スイート 海」からは大鳥居を眺めることができ、水平に連続する窓からは沈んでゆく夕陽を望む。この黄昏の光は黄金色に輝き、室内は一瞬にして光影に包み込まれ静寂な海と向き合う。そして非日常の世界へと引き込まれる。
「スイート 山」は太古から残された弥山の原始林と宮島の発展と共に歩んできた商いのにぎやかさを重ねながら楽しむことができる、宮島の自然と文化を感じる客室となった。
リフォーム
ホテル
洗面
和モダン

2023/11/01
山梨県 F邸別荘
富士山を臨む大自然に佇むキャビン・ログハウス風の別荘を、木やメタル素材を使いながら、インダストリアルでモダンなインテリアへリノベーションした。既存の間取りでは10畳あった和室部分を6畳の小上がり畳スペースへ縮小し、拡張したLDKの一角には、庭や富士山が見える窓辺にワークスペースを設けた。外の景色を眺めながらのんびり料理を愉しめるように、キッチンのレイアウトを変更。奥まった場所にあった壁付けのキッチンを、対面式のL型へ造り替えた。また、モールテックスで仕上げ、重厚感のあるキッチンとした。ダイニング側のリビング収納は扉寸法を工夫して、アクセントウォールにもなるよう設計した。廊下からLDKにつながる建具をガラスにし、天井をひとつづきに見せることで抜け感を演出。前オーナーから引き継いだ暖炉は、使い込まれたアンティーク感とレンガの風合いが希望のインテリアに馴染みそうだったため、そのまま活かすことに。暖炉もまだまだ現役として使用でき、設備としても戦力となった。洗面台もキッチン同様モールテックス仕上げにし、シンプルでスタイリッシュな雰囲気に合うセラトレーディングの洗面器を選定。この別荘で施主は、リモートオフィスとして活用したり、週末は家族や犬とのんびり余暇を過す。暖炉に薪をくべたり、景色を眺めながらじっくりと低温調理に向き合ったり。都会の喧騒から離れ、ワイングラスを傾けながらゆっくり過ごす。スローライフを愉しむ大人たちの隠れ家だ。
リフォーム
戸建
洗面
その他

2023/01/10
東京都 AO house
ビルのオーナー住戸部分を両親から子世帯が受け継ぎ、子育て世代のライフスタイルに合わせた全面リノベーション。
間取りはリノベーション前と同じ3LDK。ご実家でもあり、これまで住んでいて不便に感じていたことや有効利用できていない部分を見直し、各部屋の面積配分や動線を修正していった。
リビングダイニングは、家族が集いやすいように、できるだけ広いスペースを確保し、その窓際に家族共有の書斎コーナーを併設した。
キッチンは、食材の搬出入をしやすいように玄関とダイニングからの動線に配慮した。また、家事をしながら子供の勉強を見ることができるように、ダイニング側のカウンターを広くして、家族が集まりやすいダイニングキッチンとなるように計画をした。
オープンキッチンからダイニング、リビングへと一室空間となるため、キッチンとカウンター収納などの造作家具は統一したデザインとなるよう、置き家具も色のトーンを合わせてコーディネートしている。ダイニングテーブルは色味や大きさがなかなか合うものがなく、今回のプロジェクトのためにデザイン製作をした。
洗面スペースは、個室とはせず廊下の一角に設けることで、複数人で同時に手洗いや身だしなみを整えることができるようになった。
トイレにはしっかりと手洗いができるように、大きめでフォルムにデザインが感じられる手洗いボウルを設置した。
リフォーム
マンション
洗面
アーバン

2022/11/01
兵庫県 新在家の家
中庭を中心として南に平屋、北に2階建ての棟がある。2つの棟は渡り廊下でつながっており、平面図で見るとH型になっている。
道路に面している平屋の棟にはコンクリート打ち放しの塀を設け、中庭は平屋の棟によって、プライバシーが確保されている。
平屋と2階建ての棟をつなぐ渡り廊下は、中庭を2つに分かち、それぞれ趣の異なる外部空間としている。一つはリビングに面しており、季節の移り変わりを感じられる庭、もう一つはプライバシー性の高い活動的な庭となっている。
リビングの奥にはスケルトンの階段がある。
その上部のコーナーにトップライトがあり、北側の空間に明るさをもたらす。
新築
戸建
キッチン
ナチュラル