引き続き2023年3月に開催された展示会ISHの様子について報告させていただきます。
今回のブログでは、洗面ボウルの傾向についてご紹介したいと思いますが、まずその前に、ISHではどの出展社も洗面ボウルだけの紹介ではなく、同社のミラーやキャビネットなどのファニチャーと併せてインテリアとして提案していることが大きな特徴でした。
コロナ禍で在宅ワークのライフスタイルが進んだ中、寝室・居室、または一部のリビングがワークスペース化した事例も増えています。
そんな中、素の自分でいられる場所が洗面スペースやバスルームであり、その空間により自分らしさや居心地のよさを求めるこれからの時代に向けて、水まわり各社が動いているように感じます。
HANSGROHE社(ドイツ) / 陶器製品も自社ブランドとして展開することを新たに発表。
ミラーやキャビネットも幅広く品揃えされており、総合メーカーとしてバスルームのインテリア提案を行っている。
ROCA社(スペイン) / ヨーロッパが誇るサニタリー総合メーカーとして名を馳せる。
陶器製品の他、アクセサリー、ミラー、キャビネットも自社で展開。
思わず見てしまう家具や照明、小物のセレクトも秀逸でインテリアライクなバスルームを感じさせる。
VILLEROY & BOCH社(ドイツ) / テーブルウェアブランドで有名だが、衛生陶器やタイルといった陶製品も幅広く展開。
今回発表の新商品、ANTAOシリーズでは洗面ボウルやバスタブだけでなく、ミラー・キャビネット・洗面水栓といったアイテムをトータルで紹介している。
FLAMINIA社(イタリア) / ブース正面の中央にてSETTECENTOシリーズの新色、青磁のような"MENTA"と、朱赤のような"UVA"を紹介。
ご紹介したのはほんの一部で、ヨーロッパの水まわり大手企業の総合メーカー化の流れは顕著であり、気に入った商品に出会えば、同じメーカーで空間をコーディネートすることが、これまで以上に簡単になってきています。
この流れにより洗面・バス空間のパーソナライズやデザイン訴求が、より一層叶うようになってきているのではないでしょうか。
さて、より自分好みのバスルームを実現させるための選択肢として、今回のISHで目立った洗面ボウルのカラー傾向についてお伝えします。
DURAVIT社(ドイツ) / 左：シナモンマット、右：グリーンブルーマットと称された商品カラー。Color up your every day「あなたの毎日を彩る」として、鮮やかなカラーが提案されている。
いかがでしょうか。洗面ボウルやバスタブなどの陶器製品としてはかなりインパクトあるカラーが今回のISHでは見られました。
これまでの洗面ボウルでは定番のホワイト以外だと、ニュアンスカラーやパステルカラーといった淡いトーンが主流でしたが、今回は発色よく濃いめ、または暗めのトーンへの移行が印象に残りました。
具体的にはグリーン系、テラコッタ（あるいはサーモンピンク）といった色みが展示の前面に出てきています。
ファッションではグリーンがトレンド色として注目されていましたが、その流れがインテリアを経て水まわりの商品へと連鎖しているようにも感じられます。今後もアンテナを張って動向を見ていきたいです。
最後に陶器商品のデザイン傾向についてです。
これまでリムの薄いシャープなデザインの洗面ボウルが一世を風靡していましたが、今回のISHではそのトレンドもひと段落し、その反動か丸みやボリューム感や重厚感のあるデザインが多く見られました。
DURAVIT社(ドイツ) / 新商品のQategoシリーズ。
コロンとした石のフォルムや焼くと丸みを帯びる陶器素材の特性を活かしたオーガニックデザイン。
コーディネートでは石×陶器×木材など天然素材のミックスも意識されている。
FLAMINIA社(イタリア) / FLUOシリーズ。手前のリムはシャープだが、奥にいくにつれてボリュームが増すデザイン。
手に触れたくなるような滑らかで丸みを帯びたやさしいフォルム。
丸みや適度なボリューム感は、落ち着きや癒し、やさしさを感じるデザイン要素にもなります。
これからは、人が自然体でいられるような、マイルドでナチュラルな印象を持つデザインがトレンドになっていくのかもしれません。
今後もヨーロッパから発信される商品の傾向に注目していきます！
次回のブログでは、水栓の新商品についてご紹介していきたいと思います。
お楽しみに！
