ホテル情報
Hotel Principe di Savoia Milano
- Add
- Piazza della Repubblica 17 20124 Milano Italy
- TEL
- +39 02 62301
- FAX
- +39 02 659 5838, +39 02 2900 6781
- reservations@ hotelprincipedisavoia.com
- URL
- https://www.dorchestercollection.com/en/milan/hotel-principe-di-savoia/
「プリンチペ・ディ・サヴォイア」はミラノの共和国広場に臨み、そのネオクラシックなファサードからもホテルの風格と歴史が漂う。以前はちょっとインテリアも埃をかぶってしまった感の否めなかったグランドホテルが、ここ数年かけて見事なトランスフォーメーションを成し遂げた。フェラガモやカッシーナというイタリアを代表する老舗ブランドが誕生したのと同じ1927年の創業である。平成5年には天皇皇后両陛下もお泊まりになったそうである。昔も今も変わらず世界中のセレブ達に愛される。昨年のヴェネツィア映画祭で金獅子賞に輝いたソフィア・コッポラ監督の新作で、セレブライフに虚無感を抱き始めるハリウッドスターの父親と、思春期の娘との複雑な心の交流を描いた『SOMEWHERE』のロケにも使われ、映画の成功とともに改めてホテルへの注目度も増したようだ。
2003年にブルネイ投資庁が所有する都市のランドマーク的最高級ホテルの「ドーチェスター・コレクション」に仲間入りし、5000万ドルをかけて、次第にトータルリニューアルが敢行される。回転ドアからエントランスのロトンダに足を踏み入れると、左右対象の銅色のメタルのネットに覆われたウォールエレメントと、ゴールドの花飾りコラムに迎えられ、ベルベットのカーテンの向こうには、1930年代のアールデコの劇場が隠れている印象を受ける。
ティエリー・デスポンが手掛けたロビーラウンジの「イル・サロット」は、より明るく、よりフレンドリー、より彩りも豊かに変貌した。デスポンはNYを拠点に活躍するフランス人建築家で、過去には「自由の女神」修復の監修という世紀のプロジェクトを任された経験も持つ。プリンチペでは「エキサイティングでイノベイティブな感覚をクリエートすると同時に、伝統と歴史への敬意も表現することがチャレンジだった」という。家具もカーペットも全てがオリジナルデザインで、イタリアのファブリック(ルベリ社やC&Cミラノ社)やイタリアの革(コルティーナ・レザー社)をマテリアルに、インテリアの全てにイタリア職人芸の粋が集まる。ラウンジのデザインは、トスカーナ地方の庭園や独特の柔らかい光にインスピレーションされ、コンテンポラリーとクラシックがバランス良くブレンドされた。
本格的イタリア料理のレストラン「アカント」は、ミラノとロンドンにスタジオを持つチェレステ・デルアンナのデザイン。セレブの豪華ヨットのインテリアでまず名を成したデザイナーである。カスタムメードのムラノガラスのクラシックな照明と、光のムードを時間帯によって変化できる最先端のLEDの照明システム(オスラム社とのコラボレーションで開発)が、新旧の融合で雰囲気を出すのに大きく効果している。シャンデリア上部の天井には、ガラスファイバーとスワロフスキー・クリスタルの光の冠が配される。アラン・デュカスともコラボレーションしている屈指の専門家、ポール・ヴァレがレストランのショーキッチンを設計した。噴水からの水音も、清々しい庭園の席も落ち着く。
最上階まで上ると、プール付きのエレガントなフィットネス&ウェルネスセンター「クラブ10」。一汗かいた後はルーフテラスでリンゴをかじりながらミラノの街を一望できる。スカラ座のバレエのスターダンサー、ロベルト・ボッレもこのクラブを利用しているらしい。
一番リーズナブルなクラシック・プレミアムルームから、映画『SOMEWHERE』にも出てくるポンペイの壁画の様式で装飾されプライベートプールもある500㎡の広大なプレジデンシャルスイート(14500ユーロ)まで、ホテルは10フロアに全401室。そのうち132室がスイートになっていて、デヴィット・ベッカムがACミランに移籍中は、9Fのロイヤルスイートがベッカムの“わが家”だったそう。広場に面したフロントの部屋はデラックスモザイクルームと呼ばれ、白大理石のよりコンテンポラリーなバスルームに美しいモザイク画がデザインされている。
泊まったのは、ロンドンのフランチェスカ・バスのデザインによるデラックス・プレミアムルーム。ドアや調度品は、18世紀にインタルジア(寄木細工)の著名なマイスターだったジョゼッペ・マッジョリーノのスタイルを受け継いで製作された。優しいカラートーンのネオクラシックなインテリアの中で、ダマスト織りを始め、イタリアの絹織物の伝統と精緻の職人技術を実感できる。部屋の壁にはヴェルディのオペラ「アイーダ」の譜面が飾られ、それを眺めていると是非とも夜はスカラ座に行きたくなってしまうだろう。広いバスルームは大理石のマテリアルの美しさに捧げたデザイン。壁と床に深緑の大理石と赤系の大理石とで大胆な幾何学パターンが描かれる。アクア・ディ・パルマのアメニティのレモン色が爽やかだ。シャワーのパーティションもドアも透明ガラスで、主役の大理石が隠れることがない。
ホテルのロケーションはドゥオーモ広場からはちょっと離れているが、15分おきぐらいに中心街へのシャトルサービスが用意され、とても便利だ。ピカピカに磨かれたメルセデスベンツのリムジンカーに乗るなんて最初で最後かも。それも運転手さん付きで、、。数分だけ車内でVIP気分に浸り、美術展を梯子して、スカラ座のチケットオフィスで半分冗談に今夜の分はあるか聞いたら、冗談でなくゲルギエフ指揮でプッチーニの「トゥーランドット」の平土間席チケットがあった。イタリアの演劇界で実験的な作品で絶賛されているというジョルジョ・バルベリオ・コルセッティ監督の新演出ということで、前喜びも大きい。それが幕を開けたらどこに新しい解釈が?どこに実験精神が?と、最後の最後まで余りにも退屈でがっかりしてしまった。前回のバレエの時もはずれだったし、スカラ座とは相性が悪いのだろうか。チケット代を考えると、このまま部屋に戻っても落ち込みそうで、バーで元気回復することにした。
「プリンチペ・バー」のリニューアル前は「ウィンターガーデン・バー」と呼ばれていて、フローラルなステンドグラスの天井が、その代名詞的インテリア要素だったが、ティエリー・デスポンは勇敢にもこの天井を消滅させ、それはムラノガラスのシャンデリアをスパークリングさせた。「自由の女神」のトーチデザインや、ハリー・ウィンストンの宝飾サロンプロジェクトでデスポンとコラボレーションしているアメリカのガラス作家ロバート・ドゥグレニエールのデザインで、3000個ものパーツに構成される。グランドピアノのリム(側板)をラップして背もたれとしたユニークなシートが、センターピースとなっている。壁のアートはミンモ・ロテラの作品。せっかくだから何かプリンチペでしか味わえないカクテルでもということで、ヘニングさんはウォッカマティーニと生牡蠣のコンビネーションで「オイスター・マティーニ」をセレクト。私は「ソーニョ」というイタリア建国150周年を祝う記念カクテルに決めた。テーブルに置かれたのは夕焼け雲のピンク色のカクテル。シチリアのタロッコオレンジ、トスカーナのガリアーノリキュール、ヴェネトのプロセッコと、南・中央・北と、イタリア全土がシェイクされていた。カクテルの名前は「夢」を意味するそう。ほろ酔いになってくるとシャンデリアのマジカルな光にスーッと吸い込まれてしまいそうな夢心地になるのだった。
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2011/09/01時点の情報です