ホテル情報
Innside by Melià München Parkstadt Schwabing
- Add
- Mies-van-der-Rohe-Strassße 10 D-80807 München
- TEL
- +49 (0)89 35408-0
- FAX
- +49 (0)89 35408-299
- muenchen.schwabing@innside.de
- URL
- https://www.melia.com/en/hotels/germany/munich/innside-munchen-parkstadt-schwabing
アウトバーン9号線で北からミュンヘンに入る。未来的なサッカースタジアム「アリアンツ・アリーナ」が見えてくると「これでミュンヘンに着いた!」という実感が湧いてくる。しばらくすると超モダンなガラスの高層建築ビル「ハイライト・タワーズ」とお目当ての「インサイド」ホテルも視界に入ってきた。アウトバーンを降りてすぐのところにミュンヘンの新興集団住宅&オフィス街「パークシュタット・シュヴァービング」が広がる。ホテルのあるのがミース・ファン・デル・ローエ通り、他にもオスカー・シュレンマー通りやヴァルター・グロピウス通りとバウハウス縁の建築家や芸術家の名を付けた通りが揃いそれだけでなんとなく楽しくなってきた。オリンピック公園に隣接するBMWの新しいブランドセンター「BMWワールド」見学にはもってこいのロケーションだ。ガラスとスチールの渡り橋で繋がる双子のようなハイライト・タワーに5階建てL字型のホテルブロックとハイライト・フォーラムからなるコンプレクスは、バイエルン地方出身の世界的な建築家ヘルムート・ヤーンが率いるシカゴのマーフィー/ヤーン建築事務所の設計だ。ヤーンはこの1月4日に70歳の誕生日を迎えられたそうだ。
ホテルは去年滞在した時はまだ「インサイド・プレミアム」という名前だったが、建築環境、機能性、デザインのどれもがファーストクラスであることを“プレミアム”という表現に託したホテル哲学が根底にある。
インテリアはロンドンのヤーン・リコーリア・デザインスタジオ (www.jahnlykouria.com) が手掛けた。ロビーのフローリングにはめ込まれた蛍のような小さな光点を配するアイデアに始まって、ビジネスホテルのアノニマス性を逸脱してビジネスブティックホテルとでもいうパーソナルな雰囲気の環境作りに成功している。1990年代半ばから続いているヤーンと若手デザイナーのヨルゴ・リコーリアとのコラボレーションが実り、ファニチャーやフィッティングも彼らのオリジナルデザインが揃う。ロビーやハイライトバーのラウンジチェア「ブッダ」はモローゾ社、部屋のデスクチェア「ナラド2」はミュンヘンのクラシコン社でプロデュースされた。
ブレックファストルームでもあるホテルの地中海風料理レストランのファニチャーは白に統一されピュアな空間、夏はスタイリッシュなハイライトバーでハイライトタワーズに向かって、カジュアルなチーク材のファニチャーで寛げるテラス席が人気だ。全160室の洗練されたデザインのモダンアート・スタジオとスイート。シーズンオフには朝食込みが100ユーロ以下で利用できる嬉しい日もある。窓からアウトバーン9号線と走る車の波が見えるのも「BMWワールド」見学のプレリュードみたいだ。ドアをつけずにオープンな“リビングバスルーム”のコンセプトが客室デザインの最強ポイントだろう。ベッドエリアとのパーティションが適度な目隠し効果を発揮する乳白色のフロストガラス・ウォール。バスルームの照明をつけるとバスルーム全体が部屋の照明器具の一つと化したようで、洗面台上の四角い鏡のシルエットが美しく浮かび上がりモダンアートとして鑑賞したくなるくらいだった。デスク脇のメタル製の荷物置きスペースにも実用性とデザインがパーフェクトに一体化している。
ホテルではロビー、レストラン、フロア、客室と全館通してコンテンポラリーなアートワークに導かれる。最初は若手の写真アーティストの連作だろうと思っていたが、よく見ると何か別の秘密がありそうで、スタッフに聞くとジョン・ウィリアム・ウォーターハウスの水の精や人魚姫の絵画をヤーン&リコーリアがコンピューターで異化させたデザインアートだと謎解きしてくれた。ウォーターハウスはイギリス19世紀のヴィクトリア時代を生きた前ラファエル派の画家。アルプスの山々に囲まれ、海や水とはイメージが繋がらないミュンヘンのホテルの壁に神秘の水が静かに流れていた。
2010/01/15時点の情報です