ホテル情報
Hotel Rathaus Wein & Design
- Add
- Lange Gasse 13 1080 Wien
- TEL
- +43 (1)400 11 22
- FAX
- +43 (1)400 11 22-88
- office@hotel-rathaus-wien.at
- URL
- www.hotel-rathaus-wien.at
オーストリアワインとデザインのマリア-ジュ。ウィーンの「ラートハウス・ヴァイン&デザイン」はこんな美味なコンセプトのホテルだ。ダブル39室は各々がオーストリアのトップワイナリーに捧げられ、ミニバーにもワイナリー御自慢のワインボトルが並ぶ。ホテルのディレクターもワインアカデミー卒の専門家。ワインラウンジでは“今月のワイナリー”の全プロダクトが揃う。ワイナリーとのコラボレーションが成功したのも、ホテルのオーナーのフライシュハーカー夫妻が自身のグルメレストラン「プェッファーシフ(胡椒船)」で長年に渡り全国の醸造家と親交を深めることができたからだろう。レストランはザルツブルク近郊ゼルハイムの古い牧師館にあり、御主人のクラウスはミシュラン1ツ星のシェフ、ぺトラ夫人がソムリエというゴールデンコンビ。フライシュハーカー家は更にザルツブルクにロマンチックなプチホテル「ローゼンヴィラ(薔薇荘)」を手掛け、ここがホテル・プロジェクト第2弾となる。(オープニング:2004年4月30日)
市庁舎を意味する「ラートハウス」という名前の通りウィーン市庁舎に近い。ホテルに改造されたのは泡沫会社乱立時代に典型的だった1890年の住宅建築で、シェーンブルン宮殿と同じ黄色のファサードを持つ。ザルツブルクのインテリアデザイナー、マンフレード・カッツリンガーが主宰する設計事務所「m+m project」にリニューアル全てが任された。エントランスの古いタイルの床、手の込んだスタッコ装飾、オリジナルの建築エレメントが修復され再び輝きを得、ハイクオリティーの素材で創られたモダンなインテリア・エレメントと美しく対話している。
昔は馬車も入った1階の長いエントランスフロアを抜け、階段を上り大理石の柱の門の向こうにレセプションが現われた。そのトルコ産大理石のカウンターも柱も内側から柔らかな光を放ちマーブル模様を浮き上がらせるライティング・オブジェクトでもある。こちらから事前にリクエストしたわけではないのだが、チェックインで“今月のワイナリー”のヤメク醸造所(wwwweingut-jamek.at)の部屋をもらえたとわかって感謝感激してしまった。そしてワインラウンジ(朝はブレックファーストルーム)の中庭を見下ろす窓際の席でヤメクの“スマラクト”のリースリングを味わった。スマラクトとは宝石のエメラルドだが、ドナウ渓谷の急勾配なテラス状の葡萄畑にブルーの頭にエメラルドの緑色のボディをした“エメラルドとかげ”が生息していることから、ヴァッハウ地方の最高のワインに与えられる名称だ。ワインラウンジではシャンデリアやルイ14世風の椅子が帝国時代のウィーンをほのめかし、ウォルナットの木とクリーム色のレザーを組み合わせたオリジナルデザインの家具とバランスよく協和する。スタイリッシュでありながら冷たさのない人肌の温かさのインテリアだ。
ここでどうしても忘れてはいけないのが朝食ビュッフェのこと。内容があまりにバラエティに富んでいるので一体どれから始めればいいのかしばし呆然と立ち立ちすくんでしまった。ウィーンのホテルの朝食コンテストがあれば1等間違いないだろう。
部屋に荷物を置いたら一度練鉄製のデコラティブな古いエレベーター(オーチス社)で最上階まで上って、階段で1階ずつ下りて各階の部屋の扉のワイナリーのラベル見学ツアーをしてみても楽しい。番号で区別するだけのホテルの部屋のドアに個性が加わる。ヤメクの部屋は建物の光庭に面し、隣家との間の殺風景な防火壁を眺める形なのだが、これに対応したデザイナーのアイデアが驚くほど効果的。巨大なワインボトルやグラスを描いた壁画の青空ギャラリーに変貌させたのだった。ベッドの天蓋全体が照明オブジェクトなのもユニークだった。ドントディスターブのサインがワインボトルのシルエットだったり、ワイン畑の写真が壁に掛かっていたり、アメニティのボディ&ヘア・シャンプーが半透明なボトルの中にまるで赤ワインを入れたかだったり、部屋のディティールにもワインのテーマが色々な形で組み込まれている。ホテル全体で私の絶対的なお気に入りデザインはトイレの中にある。赤ワインのボトルを形取ったトイレットペーパーのシール。可愛すぎてシールを剥がすのがもったいなくて、予備に置かれたもう一つのトイレットペーパーのロールを使うことになったのだった。
2008/10/01時点の情報です